不登校児を抱えてのシングルマザー歴6年。その後、再婚をし、いまはステップファミリーとして毎日奮闘しています。思ったより大変だったシングルマザー時代の経験を、同じ悩みを持つ人に伝えることで応援していきたいと思っています。
子供が不登校になって、最初は私もだいぶ悩みました。なんとか既存の学校に合わせようと必死でした。自分も仕事をしなきゃいけないのに子供の居場所がない状態…。現状の生活と将来の生活の不安ばかりが押し寄せて、子供にイライラする毎日でした。
学校と相談してもいい解決策もなく、次第に情報を求め子供と一緒に様々なオルタナティブスクールやフリースクールなどを見学するようになりました。
そこで生き生きと学ぶ子供たちを見て、既存の学校だけが学校ではないと気付いたのです。
オルタナティブスクールとは既存の学校教育法とは違う、代替えの教育を行っている学校のことです。
子供の個性を尊重し、自立心と主体性を重んじる教育で独自のメソッドに沿ったカリキュラムで子供の好奇心や探求心を大切にします。
シュタイナー・サドベリー・モンテッソーリなどもオルタナティブ教育に入ります。
既存の学校以外での学びの場ということではオルタナティブスクールと同じなのですが、日本では不登校の生徒に向けてのカリキュラムを提供しているところが多く、既存の学校に戻れるよう指導する場所もあります。
大きく違う点は、オルタナティブスクールは不登校にならなくても既存の教育では得られない独自の教育に賛同し、小学校一年生から入学させるケースが多い一方、フリースクールは不登校になったあとに、代替えとして選択する場合が多いということです。
最近ではフリースクールも独自の理念を掲げているところが増え、境界があいまいになっています。
オルタナティブスクールもフリースクールも公的な学校とは認められていないため、地元の公立学校に籍を置き、実際にはオルタナティブやフリースクールに通うという形を取ります。最近は公立学校と連携が取れているスクールが多く、出席扱いにできるところがほとんどです。
私の子供もその形を取り、オルタナティブスクールに通っています。
インターナショナルスクールやITなどを学ぶ専門的な学校もあり、子供にあえば素晴らしい教育が受けらる選択肢となります。
実際に子供が通ってみると、意外にもシングルマザーのご家庭の子供が多いことに気付きました。うちの場合も公立で不登校になってしまうと親の送迎が必須だったり、生徒数が多いので学校側の柔軟な対応が難しく、1人で何もかもやらねばならないシングルマザーにはハードルの高いことが多かったです。
最近は公立校も柔軟にはなってきましたが、それでもまだまだ負担が大きいのは事実です。その点オルタナティブスクールやフリースクールですと、生徒も少数なので臨機応変に対応してくれるスクールがほとんどです。
一番の負担は学費ですが、それもスクールによってまちまちで、無料で提供しているところもあります。小学生で不登校になると送迎や待機で時間をさかれ、仕事ができなくなります。それを考えると子供が通える居場所があり働きに出ることができれば、学費を考えても選択肢となりうる範囲内だと思います。
不登校になる子は、何かしらの理由で既存の教育が合わない場合が多いです。特性のある子や敏感な子、個性の強い子などで、私の子供もそのタイプです。私は最初それが分からず、とにかく普通に「みんなと一緒」という枠に子供をはめ込もうと必死でした。シングルマザーで相談できる相手もいないので、1人で悩んでいた時期が数年ありました。
ですが、いま思うとなにをあんなに悩んでいたのだろうと思います。
昨今のIT・ロボット・人工知能などのめざましい発展と急激に変わっていく社会。既存の学校になぜあそこまでこだわっていたのだろうと思います。
もちろん既存の学校が悪いわけではありません。なじめる子にはなんら問題はないのですが、なじめない子に選択肢がないというのは問題です。
特にシングルマザーのように日々忙しくしていると、なじめない子供をなじめるように頑張ることすら難しい作業になってきます。親や大人の意識改革も必要になってきますが、これからの社会はさまざまな教育の場があることが理想でしょう。
子供は好きなこと、得意なことなら頑張れます。好きなこと、得意なことを思いっきりやっていくうちに、成長していきます。気が付いたら、自分で考えるようになり、進路も明確になっていきます。その時に居心地のいい場所で学んでいた分、頑張る力が芽生えていることが多いです。
最初は私もオルタナティブスクールで大丈夫だろうか?という不安があったのも事実です。しかし通って2年ほど経ちますが、子供は元気を取り戻し、いろんなことに頑張れるようになり、勉強への意欲も出てきました。元々どんな子供も学びたいという欲求はあるはずなのです。
シングルマザーの人ほど、新しい価値観を持って子供に接することができると思っています。
私たちシングルマザーは離婚を経験することで、女性はこうあるべき、家庭はこうあるべきという価値観からある意味解放されます。理不尽な偏見にさらされながらも日々がんばっているシングルマザーだからこそ、新しい道にチャレンジする素養があり、子供の可能性を信じることが出来る人が多いのではないでしょうか。
あなたが勇気を出してシングルマザーになったのと同じように、既存の枠にとらわれず、あなたのお子さんの新たなチャレンジを応援し、可能性を見つけてあげてほしいと思います。
子供は必ず成長します。
そのためには、その子その子に合った環境が必要です。
もし親が見て、まだ頑張れそうだなと思えれば様子を見ていいと思いますが、もう子供が疲れ切って完全に登校できない状態であれば、まずはありのままのその子を受け入れてあげてください。
かつての私はシングルマザーで大変なのに…という気持ちがあり、困った行動(不登校)を受け入れることができず、なんとか頑張らせなければと必死になっていました。でもそれは、ますます子供を追い詰めるだけでした。
いったん不登校であるという現実を受け入れ、さまざまな学校を見ていくうちに考えが変わってきました。そして子供をオルタナティブスクールに通わせているうちに、もっと教育の選択肢はあっていいはずなのだと気付くことができました。
かつて不登校時代の先の見えないトンネルを歩いているような気持ちでいた自分に「大丈夫、心配しないで」と言ってあげたいです。