未婚のシングルマザー。24歳で出産。
家族や周りの人に支えられながら元気いっぱいの息子(1歳)と暮らしています。
現在はフリーランスのWebライターとして、新しく挑戦した仕事に奮闘中です。
寡婦控除は、
・夫と死別または離婚をした独身の女性
・生計を一にする子がいる
・所得が500万円以下
などの要件を満たすと受けられます。所得税において35万円の控除が適用され、課税対象の所得が低くなる優遇制度です。これまで同じひとり親でも未婚・非婚のシングルマザーは寡婦控除を受けることができませんでした。ひとりで子育てをしていて大変なのは同じなのに、離婚・死別していないから控除はなし……。
私は妊娠を機に当時付き合っていた彼と結婚することになりました。お互いの親に挨拶を済ませ新居も契約し、「この日に入籍しよう」と決めていた日の1ヵ月前、彼は重いうつ病になってしまったのです。どんな言葉も届かず、目も合わず、婚約は破談となりました。未婚で産むというのは、皆さんそれぞれに事情があると思います。覚悟もあると思います。その覚悟があったのだから、勝手に産んだのだから、「税金の優遇はなし」でいいのでしょうか。
そんな状況に立ち上がり声を上げてくれたのが同じく先人のシングルマザーの方々です。切実な声が長い時間をかけてようやく届き、令和2年度の税制改正によって未婚のシングルマザーでも控除が適用されるようになりました。「寡婦控除」からすべてのひとり親に適用される「ひとり親控除」へ。これは本当に、本当にありがたいことです。
税制改正によって創設された「ひとり親控除」これまでの「寡婦控除」と一体何が違うのでしょうか?適用要件や所得控除の額をまとめました。
寡婦控除の所得税における所得控除の額が見直され、500万円越の場合における27万円の控除が撤廃されました。そのかわりに、男性・女性ともに所得が500万円以下の場合35万円の控除が適用されます。この35万円の控除に、今まで認められていなかった未婚のひとり親(シングルマザー・シングルファザー)が加えられたのです。性別や婚姻の有無に関わらず、すべてのひとり親に「ひとり親控除」としてに35万円の控除が適用されます。
離婚・死別などによりひとりで子育てしている人の所得税・住民税の負担を軽減するために設けられた優遇制度です。改正前は所得が500万円以下のひとり親の場合、特別の寡婦控除として35万円の控除(男性は27万円)、500万円越は27万円の控除が適用されていました。扶養親族が子以外・無の場合は27万円の控除です。改正後の寡婦控除は、この扶養親族が子以外・無の場合のことを指します。
改正された寡婦控除・ひとり親控除は2020年(令和2年)度分以後の所得税において適用されます。控除を受けるために年末調整時の申告または確定申告が必要です。
改正前に「寡婦」または「特別の寡婦」に該当する方で、令和2年度の改正後「ひとり親」に該当する給与所得者の場合、年末調整時の申告は必要ありません。令和2年度分の年末調整では、35万円の所得控除が適用されます。
私と同じ未婚のシングルマザーのように、改正前は「寡婦」または「特別の寡婦」に該当せず、改正後は「ひとり親」に該当する場合は年末調整時に必ず申告しましょう。「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」の提出が必須で、令和2年最後の給与を受け取る前に会社等へ提出する必要があるので注意してください。
会社に属していない個人事業主の方や自営業の場合は、確定申告の際に「ひとり親に該当する旨」を表記しましょう。
国税庁ホームページ【https://www.n ta.go.jp】の確定申告書等作成コーナーでは、「寡婦控除」の欄はあっても「ひとり親控除」の欄がまだありません。
令和2年10月にひとり親を選択できる年末調整控除申告書作成用ソフトウェアが提供される予定です。
所得(収入-経費)から控除を引いて残る金額が課税される所得、課税所得金額です。前年1月1日から12月31日までの課税所得金額に基づいて住民税が算出されます。ひとり親控除は500万円以下の所得なら受けられるので、多くの方が適用要件を満たすのではないでしょうか。
会社に勤めている方は年末調整を、フリーランスや自営業の方は確定申告の際にひとり親控除の申請を忘れずに行いましょう。ひとり親控除を受けることで課税所得金額を低くし、負担になっている住民税を抑えられます。住民税については2021年(令和3年)度分以後に適用される見込みです。
シングルマザーが税金の負担を軽くするために、「寡婦控除」があることを紹介しました。令和2年度分からは、未婚のシングルマザーでも適用される「ひとり親控除」に変わります。所得税を抑えて、住民税の負担を少しでも軽くしましょう。
12月の年末調整や確定申告に向けて、必要な書類を把握しておけば安心です。他にもふるさと納税や医療費控除など自分ができる節税対策はないか、考えていけたらよいですね。毎日子育てや仕事で忙しく大変ですが、みんなで乗り越えていきましょう。