はじめまして。たかせみほ と申します。
シングルマザーになり11年が経ちました。専業主婦から一転して、当時小学6年生の長男と4年生の次男の子育てと仕事の両立で、忙しい毎日でしたが、中高一貫校に入学することを目指して中学受験もさせました。その後も経済的なやり繰りをしながら、息子たちをサポートし、2人とも、東京大学理科1類へ現役合格することができました。現在息子は、大学4年生と2年生になっています。
長男が小4、次男が小2の時に別居を開始しましたが、「子どもが安心できる家庭」「安定した生活リズム」を維持したかったので、小学校受験をした学校から公立の学校へ転校させることはしませんでした。
いちばん大変だったのは、子育てと仕事を両立しながらの養育費や財産分与問題と親権争いにおける離婚協議をしている時でした。2年かかってようやく離婚が成立した時は、長男はすでに小6の夏で中学受験の真っ只中でした。その渦中、協議のための文書や資料を作り弁護士とやり取りをしなければならなく、それまでに経験したことのない悩みも多かったです。夫婦の問題なので友人にも相談できず、泣き言を聞いてもらえない心細さもありました。
また、仕事を休むと職を失うという怖さもあり、常に親子共々健康に留意する必要があったので、母親の私は、毎日どこか緊張して生活をしていたように思います。
幸い息子たちは健康でしたが、高校生の時、サッカーの部活動中に怪我をしたことがあり、治療のために病院に付き添ったりするのが大変でした。同時期に、長男は右肘にヒビが入り、次男が手首を骨折した時は、二人とも肩から包帯を吊るしていて、親子で商店街を歩いていても周りの人から笑われているのが分かり、恥ずかしかったのを覚えています。
大学受験時の私ができるサポートは、過去問のダウンロードとプリントアウトくらいでしたが、真夜中に急に、「明日解くから、2年分の全教科をコピーしておいて」と言われて、翌日寝不足で出勤することに…なんてこともありました。
小学生のお子様で中学受験をするなら、進学塾のペースに付いていけるように、入塾前から学校の課題の他に、前倒しで市販の問題集やプリントを並行させるのがいいと思います。難関校狙いの場合は、公文プリントでいうと中1レベルまで進めておくといいでしょう。プリント学習での左脳開発のほか、右脳を開発する必要があるので、ニキーチンの立体図形や積み木などで空間認識を高めたり、カルタ(国旗や俳句のカード)で暗記訓練、フラッシュカードや動画の「右脳トレーニング」などで、脳への刺激を与え、語彙を増やす方法もいいと思います。次男は「算盤」をやってみたかったと言っていますが、入塾までは指先訓練や右脳刺激になるので、算盤もいいかと思います。
中学生のお子様については、部活動などもあり忙しいと思いますが、学習時間を上手に見つけながら「復習」することを毎日の基本習慣にするといいでしょう。日頃大切なのは、テレビやゲームをする楽しみを残しておいて、短時間でもいいので勉強時間を毎日確保することです。「あとで楽しみが待っている」という小さな目標があれば、毎日の学習時間も習慣化できます。
テスト対策で成績アップしやすい教科としては、暗記中心の「理科・社会」や「英単語・漢字」などです。
積み上げ式の「英語」については、基礎単語を覚えたら、次は英文法を勉強していくというルーティンを作るといいと思います。英単語を覚える時に教科書本文の音読もセットにしてください。
「数学」も積み上げ式教科ですが、苦手なお子様は、教科書の基本例題を完璧にしてから、問題集を解く。その時に解けない問題があれば、じっくり解説を読み、分からなければ先生に聞くなどして理解をする。そのように確実に基本をマスターしてから応用問題に進めていくのがいいと思います。
中学生になって「勉強法がよく分からない」という悩みを持つお子様には、親子で教科ごとにじっくり勉強法を見直す機会を設けるのがおすすめです。中学生の勉強をしっかりすることで、将来の目標が叶う確率が上がります。「将来やりたいこと」についてお子様と話し合い、ご両親は可能な限りその手助けをすることを伝えて下さい。いくつかの進路パターンが出てくると思いますが、それぞれのメリットとデメリットを書き出すと、どの道を選ぶのが自分にとって最善かが明確になると思います。
「勉強をすると将来が変わる」というメリットが分かれば、お子様は前向きになると思います。将来なりたいものについての話し合いは、中学生では少し早いかもしれませんが、高校受験をするとなると、あっという間の3年間なので、動機付けは早い方がいいでしょう。
中高一貫校に通い、中学時代はサッカーの部活動中心で動いていたので、平均点をギリギリ維持できるかどうかというレベルでした。暗記ものも全て後回しにしていたようで、定期試験の数日前からやっとプリントを復習したり、参考書を読み返したりしていましたから、当然上位の成績どころではなかったです。担任の先生に相談しても、「結果を出している学校ですから大丈夫です。見守ってあげてください」と言われていました。 そこで私も、「成績はすぐにあがらなくても、とにかく学校に毎日行かせることが大事だ」と割り切って、本人に口出しすることはしませんでした。せっかく中高一貫校に入れたので、【中学時代は充電期間】と思うようにして、焦ることはありませんでした。
高校2年生になると、学年全体が徐々に大学受験を意識するようになってきます。特に医学部を目指す生徒は、高校2年の冬頃には、「高校3年生の同日模擬試験を受けて、東大に受かれるくらいの学力」が必要になります。当時の私は、東大の理三(医学部)どころか、東大の理一に進むなんて考えたこともなかったので、そこそこの国立大学に受かってくれれば…と気楽に思っていのですが、かえってそれが気持ちの余裕につながったのかもしれません。
強いて言えば、『英単語ターゲット1900』を長男が中学1年生になってすぐに渡して、「英単語を早く覚えてしまうことが武器になる」と促し、時折声を掛けていました。とうとう高校2年生の11月にやる気スイッチが入るまでは、一度もその本を開くことはなかったです。
次男は、高2で英検準1級を取得しましたが、高1の時からチャレンジしていたので、その時に英単語はだいぶ覚えたようです。資格や合格などチャレンジする目標を据えたことで、勉強に前向きになれて良かったです。
息子たちの成果は、周りの友達に引っ張られて勉強する、という環境のおかげでした。栄光学園高等学校は学年180名の生徒数ですが、東大志望の場合は、理系では【120名中25位以内】くらいに入る必要があります。私は、模擬試験の結果に一喜一憂しないようにしました。親がうるさく言わなくても、子どもがその結果を一番よく分かっているし、自分の位置を知り、数字的な分析もしながら苦手分野を克服していく調整力があることを信じていました。
小学受験は「親の受験」。中学受験は「親子の受験」。大学受験は「本人の受験」です。子どもの力を信じて、大学受験は親が勉強を教える必要はなく、健康管理とスケジュール管理、プリントの整理などのサポート役に徹することが重要だと思います。
長男が、高3夏の東大模試判定は「E判定」 なのに、「東大を目指したい」と言い始めた時に「うそでしょ?」 と私のほうが驚き、「浪人したら困るから、もっと確実に合格する大学を狙いなさい」ということで衝突しました。どうしても受けると言うので、そこで条件を出し、「高3秋の模試でせめてC判定かB判定がとれれば、東京大学を受験してもいい」と約束しました。
それから猛勉強の末、高3秋の河合塾の模試で東大は「B判定」、駿台の模試で「C判定」まであがったので、約束通り、東大を受けることに決まりました。でも「A判定」ではないので、合格をいただくまでは不安混じりの気持ちでいっぱいでした。負けず嫌いな性格の長男の気持ちの強さが、「合格」という夢を叶えたんだと思います。
次男との衝突もありました。高3の3学期は登校せず自宅学習になりますが、「朝○時に起こして」と頼まれ、その通りにしても、結局その時間に起きず、勉強時間が夜更けにずれ込む状態が慢性化していたので、私はよく怒っていました。次男は、小さい頃はとても慎重な子でしたが、いつの間にか性格が変わり、上手な手抜きの加減を覚え、要領よく学ぶコツを身に付けており、受験勉強を乗り切ってしまったようです。
合格したあとで聞いて驚いたのは、東大の過去問を23年分くらい解いた長男に対して、次男は東大専門塾の演習問題を解くことはしたが、過去問については5年分しかやっていなかったと知ったことです。
息子たちがまだ小学生の頃、私が土・日の出勤がある時は、昼食に冷凍食品を活用し、温めて食べてもらっていました。夕食は、帰宅時間が遅くなると、冷凍食品やスーパーのお惣菜などで1品手抜きをし、あとは具だくさんのお味噌汁を作ったり、他の品は手料理するなどしていました。見栄えや栄養バランスを整えながら、取り混ぜて出せば息子たちは喜んで食べていました。
中・高校生の育ち盛り時は、いつもお腹を空かしていますので、その度に料理をこしらえるわけにもいかず、冷凍食品やインスタントラーメンを常備しておきました。今もそうですが、1日3食いつもバランスよくとはいかないので、手抜き料理も入れながら、夜の食卓を賑やかにして栄養補給の場を設けています。子どもが「美味しい」って言ってくれてお替りをしてくれたらそれでいいのかな、と思っています。
高校の卒業式は大学の合格発表前に行われるのですが、その後に体育館で謝恩会が開催されました。どの生徒も、お互いに大仕事を終えた安堵感を分かち合い、先生方や仲間の出し物に大笑いしていました。長かった死闘の大学受験が終わり、全生徒がいつものあどけない笑顔に戻っていましたが、特に長男の時は、私にとっても初めての大学受験でしたので、とても感慨深かったです。
大学受験追い込み時、どんなに遅く帰宅しても、食事をしながらipadで過去問の動画解説の続きを見ている様子。しばらく休部していたサッカー部に高2の1月に復帰届を出してから高3の5月末まで、毎日朝の練習にも出ていたこと。さらに子どもたちの幼かった頃のことが思い出され、悲しい思いをきっと抱えていたのに、私に気を遣って無理して笑顔を見せてくれたりした息子達の顔を思い出したり。
卒業式から合格発表まであと10日間ありましたが、生徒たちのみんなの笑顔を見ていたら、孤独な受験に必死で立ち向かったという大きな経験をしたわけですから、「もうどんな結果でも、頑張ったからいいよね」と思いました。
受験は子どもを成長させます。嬉しい反面、我が子が自分の手からすり抜けていく寂しさも、同時に感じました。
現在息子は2人とも大学で、工学部系の勉強をしていますが、プログラミングの勉強が必要だと分かると、参考書を選んで買ってきて、自分で学習を進めていくことができます。力学で必要な知識が不足していると分かると、図書館でそれに関したものを借りてきます。どこかに習いに行く必要がなく「自分で調べながら知識を増やす」「友達と情報を共有して解決する」といった取り組みをしています。大学生になると当たり前のことかもしれませんが、こういったことができるようになることが、私がこれまでやってきたことの集大成なんだと思いました。
これから、そしてまさに今、小さなお子様がいらっしゃるご家庭の方に、いちばん読んでほしいです。
本書では、子どもの人生の土台となる幼児教育の大切さをお伝えしています。脳のトレーニングにより、子どもが持って生まれた能力を最大限活かしてあげることができます。それにより、地頭がよくなり理解力も早くなるので、将来が楽しみなお子様になると思います。
中学受験・高校受験・大学受験の何を選択していくべきか、と悩んでいるご家庭にも参考になることが書かれてあります。
親のつとめは、子どもの学ぶ環境を整えてあげることです。お子様にとってどの学校が適しているのか、しっかり進路を決めてほしいと思います。
そして、「継続は力なり」というのは言葉通り、毎日コツコツ学習に取り組むことの大切さ。早めに将来のビジョンを描き、目標を持てば、何のために勉強するのか理由も分かります。
また、学生の間のどこかで、必死に受験勉強をするということは、高い学力を身に付けられるだけでなく、自信がつき、将来の夢を実現できる可能性が高くなる。
そういうことを親子で十分に話し合って、一緒に前へ進んでいって欲しいと思います。
『シングルマザーで息子2人を東大理Iに 頭がよくなる「ルーティン」子育て』(徳間書店)
シングルマザーのストロングポイントは、「逞しさ」だと思います。私たちは、工夫と知恵と頑張りで日々を乗り切る力を潜在的に秘めています。
大切なのは、
・支援制度を活用すること。自治体や学校には、よく調べるとさまざまな支援制度や補助金制度がありますので、お住まいの自治体の制度を調べて支援制度を活用してください。
・「余計なことは 見ない、聞かない、流されない」です。
・経済的に無理はしないことです。使えるお金の範囲で「できること、できないこと」が限られているので、優先順位を考えて、判断に迷わないことです。
・怖いお母さんにならないでください。
・地頭がよくなる子育てを意識してください。
・子ども用のタイムスケジュール作り、毎日をルーティン化する。一日の最後に自由時間を入れておき、それを楽しみにすることで、子どもはダラダラ勉強せず頑張ってくれます。
・ルーティン子育ては、スケジュールをこなすことが忙しいので、親もクヨクヨ悩んだり余計なことを考える暇がなくなります。
・子どもとよく会話をし、何に悩んでいるのか、何につまずいているのかを気付いてあげること。できることはサポートしてあげてください。
・成績の伸び悩みを理由に、転塾はお勧めしません。環境はなるべく変えずに、精神的に穏やかでいられる生活を送らせてあげましょう。
私はシングルマザーを経験してきましたが、シングルマザーとして生き抜くのは思った以上に大変で、障害が多すぎることを実感しました。
仕事だけを選べば、正社員になってキャリアと信頼を積み、給与も安定します。
子育てを選べば、安定した収入は得られず、常に日々のやりくりとの闘いがついてまわります。
賃貸物件を借りるのも、住宅ローンを組むのも、審査が厳しく断念しなければならなく、住まいひとつ決めるにしてもひと苦労します。
そして、シングル家庭のイメージは決してよくなく、それが子どもに影響を及ぼさないよう、私は離婚していることをわざわざ周囲の人に話すのを躊躇してきました。
特に、このコロナ禍の不安な世の中になってしまい、シングル家庭は、ますます辛い道を歩むことになるかもしれませんが、私たちに備わっている持ち前の「逞しさ」で乗り切っていくことができると思っています。
■たかせみほ さん
2人の子を持つシングルマザー。見た目はおっとりしているが、実は負けず嫌い。そそっかしいのと、パソコンが苦手なのが難点だったが、パソコンスキルのほうは日々のデスクワークを必死にこなすうちに克服。辛い時を経て、「トライ・アンド・エラー」の人生を楽しむようになる。
[詳細]
1968年(昭和43)父親の仕事の関係によりカナダケベック州で生まれ、2歳半で帰国。共立女子大学文芸学部英卒業。91年に航空会社に入社し羽田空港でグランドスタッフ業務に従事。97年に結婚し専業主婦となり翌98年に長男を出産。同年に東京から関西に転勤となり大阪府和泉市に移住。2000年に次男を出産。03年に再び東京へ転勤となり、神奈川県川崎市に転居。04年に長男が、06年に次男が私立洗足学園小学校(川崎市)を受験し、ともに合格。順風満帆の未来を描いていたが、夫婦関係が悪化。08年に離婚調停となり母子3人で別居を始める。10年夏に離婚が成立。翌年11年2月に長男が中学受験し、神奈川県御三家のひとつ、栄光学園中学校(鎌倉市)に合格。続いて次男も13年に同校合格。17年に長男が東京大学理科1類に現役合格。19年、次男も東京大学理科1類に現役合格を果たす。現在息子は、大学4年生と2年生。
■長男 ハー君
真面目、優しい性格。そして人一倍の負けず嫌いで、粘り強さを持っている。「母親を守る」「苦労や心配をかけたくない」という思いが強いため、ほとんど口答えをしない。また、周りの人が何をしようと気にならず、マイペースで物事を進めていく。自分には何が向いているのか?それをいつも模索している。
■次男 ナー君
お調子者で、ふざけるのが好き。一度決めた自分のやり方はとことん貫く。ネットや書物で日々なにかの情報を仕入れ、自分なりに調べるのがなかば趣味のようになっている。状況を把握するのが上手で、物事を要領よくこなす一方、かなりの慎重派。なにかを一人でやるよりは、仲間と一緒にやるほうを好む。