未婚で二児の母になったシングルマザー。実家暮らしでフルタイム勤務をしています(現在は育休中)
ひとり親向けの手当や控除などは、通常自分から申請しないと対象になりません。また、国や自治体が提供する情報はわかりにくく複雑に感じてしまいがちです。しかし、多少面倒でも、一度手続きの方法を知るだけで手元に残るお金が増えるのであれば、やらない手はありません。この記事では、頻繁に変わる税制の中から、シングルマザーが押さえておくべき最新の節税方法をご紹介します(2020年1月現在)。
国や自治体の制度の多くは、住民税の金額を元にしています。例えば、保育園や学童は、住民税の額に応じて段階的に利用料が決まります。基本編では住民税の節税方法を見ていきましょう。
寡婦控除は、まさしく「ひとり親」の税の負担を減らすための制度です。年間所得500万円以下であれば、「特別の寡婦」として35万円を課税対象額から差し引くことができるというものです。
ちなみに、これまで寡婦控除は「離婚」「死別」のみとされ、「未婚」のひとり親は対象外とされていました。これは不公平だという世論が国会を動かし、2020年度の税制改正で「未婚」も対象に入れることが決まりました。
会社員の場合は、年末調整の際の「扶養控除申告書」の書類で「特別の寡婦」にチェックを入れればOKです。所得の35万円分は税金を取られないということは、住民税でいうと10%分の3万5千円が手元に残ることになります。また、寡婦控除は所得税にも適用されるので、さらに節税効果が大きくなります。
個人型確定拠出年金iDeCo(イデコ)は、簡単にいうと「節税できる個人年金制度」です。iDeCoでは積立した金額の全て(!)が「所得控除」の対象になります。
例えば、月額1万円をiDeCo積み立てるとすると、12万円分を、その年の課税対象額から差し引くことができるのです。住民税・所得税ともに節税ができます。さらに、iDeCoの運用で得た利息や運用益は「非課税」になります。
通常、資産運用の利益(株の売却益など)に課税される税金は約20%なので、非常に太っ腹な制度です。ただし、あくまで「年金」なので、iDeCoで積み立てたお金は60歳になるまで引き出せません。生活が苦しくならないように積立額を決めましょう。
応用編は、使うシーンが限られる節税方法になりますが、よりお金を賢く使うことができる制度をご紹介します。
iDeCoの解説で触れたように、資産運用の利益(株の売却益など)には税金がかかります。正確には、所得税15%、住民税5%、復興特別所得税0.315%の合計20.315%です。つまり、株式投資で10万円の利益が出たとしても手元に残るのは7万9,685円になります。しかし、所得が低ければ、配当金の所得税が軽減あるいは免除になるのです。
具体的には、所得が330万円以下であれば所得税0%になります。確定申告すれば戻ってきます。あくまでも「投資」なので、損失が出るリスクやそもそも配当金が出ないリスクもあります。また、確定申告を行う手間もかかります。しかし、一馬力で家計を支えるシングルマザーにとって「不労所得」は魅力的です。安定的な配当を得られる株式を手に入れることができれば、心強い味方になるのではないでしょうか。
「ふるさと納税」はよく知られた制度ですので、関心のある方、すでに利用しているという方も多いのではないでしょうか。簡単に言うと、希望する自治体に「寄付」という形で事実上の納税をすることができるという制度です。正確には”節税”ではありませんが、返礼品としてお米などの生活必需品をもらえば生活費の節約になります。
ただし、シングルマザーになって間もない方や、去年と比べて収入が減ったり増えたりした方は、注意が必要です。ふるさと納税の上限額は個々の所得や控除額によって決まりますが、上限を超えて寄付するとそのまま自己負担になってしまうからです。
不明な点がある方は税務署や役所に問い合わせてみましょう。もしくは、少なめの金額を寄付しておいて年末に源泉徴収票が発行されてから追加で納税するのも手です。私も、転職した年には、年初に試算した少なめの金額でお米をもらえる自治体に納税しておきました。そして年末に源泉徴収票を確認してから、追加で別の自治体に納税して旬のみかんをゲットしました。年末の忙しい時期に対応していただいた自治体の方や地元業者の方に申し訳ない気持ちもありましたが、感謝して美味しくいただきました。
正しい知識があれば確実にお金を増やすことができるのが、節税のメリットです。そして、税制は頻繁に変わるので、常にアンテナを張っておきましょう。シングルマザーのあなたがお金に強くなり、子供に対してもお金のことを教えられるようになれば、一石二鳥ですね。