生活のために少しでも出費を抑えたいと思うシングルマザー。それが税金ならばなおさら抑えて、生活費にまわしたいものです。今回は所得税を減らす方法として、「医療費控除」についてご紹介します。実は申請基準に該当しているのに、手続きをしていないというシングルマザーも多くいらっしゃいます。
確定申告は複雑でわかりにくいものだと思います。私は会社で経理をやっていましたが、年末調整の時期になると毎年のように生命保険の記入欄でヘトヘトになる方がいらっしゃいます。
でも、実はもっと身近なもので税金対策になるものがあるのです。しかも、その作業は意外と簡単で、必要な書類さえ揃えればパソコンで申請書を作成したり申告もできます。もし、不安な場合は、確定申告の会場でもおこなえますのでご安心ください。
毎月のように発生する子供の病気。「今日はちょっと熱っぽいかな?」と思っていたら、案の定、保育園からお迎えの連絡がきたり…。子供が小さいうちは日常茶飯事ですね。時間があえばそのまま小児科へ直行、病院が開いていなければ夜間診療で治療をすることもあるでしょうか?
夜間診療は診療点数が高く設定されており、負担額も大きくなります。シングルマザーの中には、子供は深夜でも診てもらうけれども、自分自身は昼間にだけ病院に行くという方もいらっしゃいます。
医療費控除とは、病院での治療費や医薬品購入費などのどうしても発生してしまう費用に対する控除制度です。
控除対象になる費用は種類が多いですが、「治療のために必要な行為」と判断されるものと考えれば良いです。
対象となる費用
・病院での治療費
・通院に要した交通費
・病気や治療のために購入した医薬品の購入費(ドラッグストアで購入したものも含む)
・入院時の雑費(食事やベッド代など)
・柔道整復師による施術費用
・松葉杖の購入費
など
対象外となる費用
・美容整形費用
・疲労回復のためのサプリメント購入費
・眼鏡・コンタクトレンズの購入費
・予防接種費
など
以下のいずれかに該当する方は医療費控除の対象です。
・1月1日から12月31日の間の医療費が10万円以上発生している
・所得が200万円以下で、医療費が総所得の5%を超えている
※ただし、保険金などで補てんされる金額は差し引く
上記の医療費は自分の分だけでなく、生計を一にする家族(子供など)の分も合わせて計算します。
また、所得が200万円以下というのは、会社員などで給与所得のみの場合、おおよそ年収310万円以下の方が該当します。シングルマザーの平均年間収入243万円(平成28年度 全国ひとり親世帯等調査)の世帯を例にすると、この世帯の所得は151万9,600円です。所得の5%なので、7万5,980円以上の医療費を年間支払っている場合は医療費控除の対象になるということです。
医療費控除をする場合、自身で確定申告をおこなう必要があります。また、申請をおこなうためには以下のようなものが必要です。
・医療費控除の申請書
・病院や調剤薬局、ドラッグストアの領収書
・交通費などの領収書が発行されないものはメモ書きでもOK
・源泉徴収票
・還付金を振り込んでもらう銀行口座がわかるもの
・印鑑
なお、医療費控除のために、これまでは医療費の領収書以外は認められていませんでしたが、平成29年度分の確定申告より、健康保険組合などから送られてくる医療費通知書が使えるようになりました。
また申告手続きは税務署で直接スタッフに聞きながらもできますが、一番早いのはweb上で終わらせることです。会場だと待ち時間が長く、子供が飽きてしまう可能性があります。実際に泣いている子供もよく見ます…。
もし、会場でおこなう場合は、支払先ごとに領収書を分け、支払先ごとに合計金額をだしておくと便利です。
「セルフメディケーション税制」とは、医療費控除の特例で、特定の医薬品購入に対する新しい制度です。
健康診断や予防接種などを受けた方が、一部の市販薬を購入した際に確定申告をすることで所得控除を受けられます。
従来の医療費控除とセルフメディケーション税制は併用ができないため、どちらか一方を利用することになります。
また、この制度には期限があり、平成33年12月31日の利用分までと決まっています。
詳しくは厚生労働省のHPに記載があるのですが、正直わかりづらい…。
ということで、簡単にまとめると、
・健康の維持増進の取り組みをしていること
・スイッチOTC医薬品を購入していること
がセルフメディケーション税制を利用するための条件です。
さらにわかりやすくすると、「健康の維持増進の取り組みをしていること」とは、定期健康診断・予防接種・がん検診などを受けていることです。これらを受けたことがわかる、受診結果通知書などを確定申告の際に提出します。
「スイッチOTC医薬品を購入していること」とは、ドラッグストアで販売されている医薬品で、「セルフメディケーション税制対応医薬品」となっているものです。具体的な対象品目はこちらを御覧ください。
さて、実際に控除される額ですが、上記対象品目のうち、年間で12,000円を超える部分についてが控除対象です。ただし、上限は88,000円です。
いかがでしたか?医療費控除について、みなさんはご存知でしたか?医療費控除は世帯ごとでおこなえるため、申請基準である医療費10万円の枠は実は超えている方も多くいらっしゃいます。少しのことで税金対策になりますので、ぜひ調べてみてください!
医療費控除は、
・1月1日から12月31日の間の医療費が10万円以上発生していること
または
・所得が200万円以下で、医療費が総所得の5%を超えていること
セルフメディケーション税制は、
・定期健康診断・予防接種・がん検診などを受けていること
かつ
・ドラッグストアで販売されている「セルフメディケーション税制対応医薬品」を12,000円以上購入していること。