離婚歴12年のシングルマザー。現在は反抗期を迎えた娘に手を焼きつつ、仕事も趣味も恋も楽しんでいます。n
離婚に至る理由は各家庭によって異なりますが、子持ち離婚で共通して問題になるのが親権、養育費など子供に関わる問題です。他にも、シングルマザーとして子供を育てていくために住居や仕事をどうするかといった問題も出てきます。
私自身の離婚理由は、元夫の酒癖の悪さでした。普段は優しい夫でしたが、お酒を飲むと人が変わったように暴れることが度々あり、結婚生活に不安を感じていたところ妊娠が発覚。子供が産まれたら変わってくれるかもしれないと期待をしていましたが、出産後の一番大変な時期に、外で飲んで帰ってきて大声を出したり暴れたりする姿を見て離婚を決めました。
はっきりとした理由があったため、すんなり受け入れてもらえるだろうと思って切り出した離婚ですが、元夫はなかなか受け入れてくれませんでした。そのため、まずは別居という形をとり、半年間の別居生活を経て離婚が成立。別居期間中、離婚に向けた説得や養育費について決めるための話し合いを行いました。
自分自身の経験を含め、子持ち離婚をスムーズに進めるためのポイントは次の5つです。
①シングルマザーになる決意をする
②タイミング
③親権
④養育費と子供との面会
⑤離婚後の住居と仕事
それでは、それぞれのポイントについて具体的にお伝えします。
子持ち離婚をするということは、シングルマザーとして一人で子供を育てていくということです。子持ち離婚で一番重要なことは、シングルマザーになる決意をすることだと私は思います。私自身、離婚を決めた時には「絶対に一人でも娘を幸せにする」と強く決意をしました。それでも、長いシングルマザー生活の中では挫けそうになったことや、辛かったこともたくさんあります。特に金銭面での苦労や、一人で育児と仕事や家事を両立するための精神的な負担は想像以上のものでした。
そんな苦労や負担を、シングルマザーになってからの13年間乗り越えてこれたのは「自分で決めたこと」だからです。離婚理由は元夫の酒癖の悪さでしたから、一時は「どうして自分がこんな目に遭わなくてはいけないのか」と思ったこともあります。自分は悪くないのにと納得できなかったこともあります。でも、離婚を決めたのは私自身です。挫けそうな時や辛い時は、離婚時に誓った「絶対に一人でも娘を幸せにする」を思い出して乗り越えてきました。誰でも、自分が強く心に決めたことに対しては、我慢強くなれたり、諦められなかったり、もう少し頑張ろうと自分を奮い立たせることができるのです。
子持ち離婚を考えた時には、「シングルマザーになってしまう」「離婚することになってしまった」ではなく、「シングルマザーになってやる!」くらいの強い決意を固めることをおすすめします。
離婚の決意が固まったら、次に考えるのは離婚のタイミングです。引越しを伴う離婚であれば、子供も友達と離れ離れになったり、学校や苗字が変わってしまうこともあるでしょう。私の場合、離婚時に娘は1歳3か月。別居時に私の実家に戻っていたことや、まだ保育園にも通っていなかったこともあって、離婚は私の一存で決めてしまいました。離婚の意味が理解できる年齢の子供がいる場合は、子供の気持ちも一度確認してあげるのが良いのではないかと思います。
私のシングルマザーの友人の一人は、元夫が育児や家事に協力的でなかったことが原因で夫婦仲が悪化し、離婚を決意しました。当時、彼女の息子さんは小学6年生でした。息子さんに離婚することを伏せたまま「引越しするとしたらどう思う?」と尋ねたそうです。息子さんからの返答は「小学校を転校したくない」と。その言葉を聞いて、彼女は1年間離婚を思いとどまったそうです。6年間過ごしてきた友達と修学旅行に行ったり、一緒に卒業できた姿を見て、「自分にとっては苦しい1年間だったけれど、息子にとっては良かったと思う」と言っていました。その後、中学校に入学するタイミングで離婚をして、引越しや苗字の変更をしたそうです。
DVのように身の危険がある場合はタイミングを見計らってというわけにはいきません。早急に安全の確保が必要ではありますが、もしも離婚のタイミングを選択する余裕があれば、子供にとってどうなのか?ということも含めて離婚する時期を考えてみてください。
子持ち離婚をする場合、子供の親権をどちらが持つかという問題もあります。私達の場合、私は娘と離れるつもりは一切なく、元夫も親権について何も言ってこなかったため揉めることはありませんでした。お互いに親権を主張して話し合いだけで解決しない場合、家庭裁判所で離婚調停を行うことになります。
離婚調停とは、家庭裁判所(調停委員会)が父親と母親の両者の主張を聞き、双方の合意が得られる解決方法を協議していく場になります。離婚調停での協議も不成立に終わると、一般的には裁判によって親権を争うことになります。
離婚調停、離婚裁判のどちらも「子供にとって父親と母親のどちらの元で養育されるのが幸せか」が重視されます。つまり、親権を得るためには、収入はもちろんですが、子供と一緒にいる時間はとれるのか、住環境は整っているのかといった、総合的に子供を養育する環境が整っていることが必要です。話し合いで親権を決めるのが難しいと感じたら、調停や裁判が始まる前に住居や仕事など、離婚後の生活環境を整えておくことをおすすめします。
子供の親権を持つことが決まったら、養育費について話し合っておきましょう。養育費は、養育をしない側の親に支払いの義務が発生し、受け取る権利があるのは子供です。家庭裁判所で養育費の算定をする際、参考にする養育費の相場が家庭裁判所のホームページに「養育費算定表」として掲載されています。養育費算定表の金額は、支払う側の親と受け取る側の親の収入、子供の年齢と人数によって細かく分かれています。養育費を決める時の参考にしてみて下さい。
養育費と併せて、子供との面会についても決めておきましょう。離婚理由によっては、子供に会わせたくないと思う人もいるかもしれませんが、離婚後の面会を求める権利は親だけでなく子供にもあります。子供が父親に会いたいと言えば、会わせないというわけにはいかないのです。
私の場合、離婚時に双方合意の上で養育費は毎月35,000円と決めました。支払期間は娘が20歳になるまでです。子供との面会については自由に面会可能としました。それらの決め事は、公正役場で作成できる公正証書にしてあります。
公正証書とは、離婚に関わる契約(養育費や面会頻度など)を公証人に証明してもらうことで、一定の安全性が得られる公文書・執行証書になります。公正証書を作成すると、養育費の不払いがあった時には強制執行ができます。
公正証書を作成するには、夫婦二人で公正役場に出向いて契約を取り交わす必要があります。また、発行には契約内容に応じた公証人手数料が必要になり、即日発行はできません。インターネットで検索すると、公正証書について詳細を調べることができます。養育費や面会頻度の話し合いが終わったら、公正証書の作成を進めて下さい。
私は別居のタイミングで実家に戻っていたため、育児と実家の家事をこなしながら仕事と保育園探しを並行しておこなっていました。離婚によって家を出る人は、住む場所の確保も必要になりますね。
②の項目で離婚のタイミングが重要ということを書きましたが、離婚時に自分の収入がなく実家を頼ることもできない場合は、可能であれば先に仕事を探すことをおすすめします。シングルマザーといっても、アパートなどの賃貸契約には審査がありますから、収入によっては審査にすら通らず住居を確保できない可能性もあるからです。
実家に戻ることができて住む場所に困らないとしても、シングルマザーにとって仕事は必須です。私自身は実家に戻ることができましたが、仕事をしていなかったため仕事が安定するまでの数ヶ月間は独身時代の貯金を切り崩して生活していました。その数か月間は銀行残高が減る一方で、なかなか条件に合う仕事も見つからずにとても不安でした。離婚時に仕事が決まっていると、収入が見込めることで離婚後の生活のメドが立てやすいと思います。また、精神的にも金銭的にも不安が減ります。
子持ち離婚をスムーズに進めるためには、ある程度の準備期間が必要になります。さらに、子持ち離婚の場合は離婚による子供への影響も大きいですから、母親である自分の気持ちだけを押し通して離婚を進めるわけにはいきません。
あなたと、あなたの子供、どちらも一緒に幸せになれる離婚こそが何よりもスムーズな子持ち離婚なのだと思います。離婚だけでなく、離婚後もスムーズな日常生活を送れるように、タイミングをしっかりと見極めてぬかりなく準備を進めていきましょうね。