離婚歴10年。長男の意志により昨年中学受験を経験。
私達親子が中学受験を決めたきっかけは、大きく分けて3つのことがありました。それは私個人だけでは決めることのできない内容でしたので、長男としっかり向き合い話し合いを何度も重ねながらのスタートとなりました。
長男が10歳の時、学校行事で「2分の1成人式」というものがありました。私が小学生の頃はなかった行事でしたので、どんな内容なんだろうかとワクワクしながら参加したのを覚えています。その中で、一人一人が「将来の夢」を書いた色紙を両親に手渡すという場面がありました。
一体どんなことが書いてあるのだろう?と思いながらも長男から手渡された色紙には「一級建築士になりたい」という夢が書いてありました。わずか10歳、既に将来なりたい職業が決まっていたことに驚いたとともに、「この子の夢を叶えるために親としてできることは何か」を考えるきっかけになりました。
私の子供たちは1歳8ヵ月差の年子です。そのため、日頃お互いをライバルだと思い何事も競い合っています。保育園時代は定員の関係上、同じ保育園に通うことができずそれぞれの保育園に送迎していました。親としては運動会や発表会などの行事が全て園毎にあるので、休みを取ることも2倍だったのですがそのおかげで一人一人と向き合うことができました。 普段、何かと我慢させてしまう長男が私を独り占めできる時間に見せる笑顔が、とても嬉しそうだったのを覚えています。その後、小学生になり二人で登下校させていたのですが、やはり長男の負担は大きく「常に弟を見ていなければならない」という使命感を持たせ過ぎてしまった気がしました。 そこで、保育園の時と同じように学校を別々にすることで「長男個人としての時間」を増やそうと考えたのです。
上記でもお話ししましたが常に長男は弟をリードしながら、学校生活を送っていました。しかし、中にはそんな長男の姿をよく思わない児童がいました。その為、次男が何かトラブルになると代わりに長男が周りから文句を言われたり、中には暴力を受けることもありました。 少しずつ表情がなくなっていく長男の様子に気付き、本人への聞き取りや学校に問い合わせたりするなど、対策は私なりに行っていました。 しかし、一度目を付けられたらなかなか改善させるのは難しい。次第に同級生だけではなく、学校全体になりつつあるいじめの余波。それでも長男は負けたくないと6年間一度も休まずに小学校へ通いました。 中学校へは同じ小学校の同級生が全員入学します。「この環境の中に長男を後3年置いておくわけにはいかない」そう考えた末、環境を変えるため長男と共に受験勉強の日々を送ることにしたのです。
受験を真剣に考えるより1年前、長男たっての希望で公文式に通い始めました。元々得意だった算数と、これから先必ず必要になるであろう英語を学んでいたのですが、中高一貫校の受験となると内容が全く違います。そのため、まずは新しい塾を探し始めました。もちろん自分が行きたい!と思える塾ではないと続かないので体験学習を何校か受け、長男がわかりやすいと思えた塾に通うことにしました。 この時点で長男は小学校6年生の5月。受験対策を始めるには少し遅いくらいの時期です。しかし、元々通っていた公文式も続けたいという本人の希望で、週4での塾生活が始まりました。平日で塾がないのは水曜日だけ。それ以外は塾や家庭での宿題などに追われていました。長期休みは対策ゼミなどの講習を受け、苦手な作文に四苦八苦しながら頑張っている後姿を陰ながら見守る事しかできませんでした。 また、模擬試験を何度か受けることで自分の現在の偏差値などの実力を把握することも行いました。その結果、何が足りないのかを長男自身が把握し、改善することができたように思います。
長男の目指す学校は学校説明会やフリー参観などを行っていて、小学6年生の児童・保護者であれば参加することが可能でした。そのため、入学後のイメージが湧きやすいように親子で参加しました。実際に行っている授業を1年生~3年生まで全て見学することができ、また理科室や図書室などの実習室に入る事も可能でしたので、長男はとても興味深そうに話を聞いたり見学したりしていました。 また、部活動の見学も行えました。長男が一番見学したかった部活は大会の為見学できませんでしたが、他の部活の様子などを見て「○○部に入りたい」などと口にするようになりました。
中高一貫校の受験では、小学校生活の余暇活動で何をしてきたかを書く用紙が配布されます。長男は私がシングルマザーであることで時間が取れないことが多いため、スポ少や習字・そろばんなどの習い事はしていませんでした。(これは現在でも息子たちに申し訳ないなと思っています。) そのため、「何か余暇活動として頑張っている証明」として、資格を取得させることにしました。資格といってもそんなに大それたものではなく、「漢字検定」と「算数(数学)検定」です。受験までに小学6年生修了程度を合格させるべく、検定を受けました。 結果、受験までに漢検5級(小6修了程度)・数検5級(中学在学程度)を取得することができました。
受験日当日。本人よりも親である私が眠れないというアクシデントに見舞われながら、「ついにここまで来たか」という気持ちでした。いつも通りの朝食をとらせ、受験会場へ送っていくと、受験生たちはみんなスーツ・ジャケット・スーツ・・・。塾講師や小学校側からも受験日は普段通りの服装でいいとの話だったので長男はというとパーカーにダウンジャケット、黒のパンツにスニーカー。
正直「やってしまった!!」という思いがありました。いくら周りが普段通りと言っていても、もう少しちゃんと準備してやるべきだったと長男を降ろした後にものすごく後悔しました。しかし、今更考えたところでどうしようもない。長男の受験終了時間まで待つことしかできませんでした。
車に乗せ、服装のことを長男に聞いたところ「普段着だったのは受験生で自分だけだった」との事。やはり申し訳ない気持ちでいっぱいになりその場で長男に謝りました。しかし、当の本人はケロっとしていて「返って緊張しなかったし」という優しい発言をしてくれました。
そして、試験後の面接は集団だったのですが同じ部屋の受験生たちが緊張のせいか小声だったので、「チャンスだと思ったの!僕はなるべく大きな声で答えてきたよ!」と笑顔で教えてくれました。
こんな時は母親よりも、肝っ玉が据わっている長男に驚かされそして同時に頼もしく思いました。
受験から数日後、ドキドキの合格発表日。またもや前日からソワソワしているのは私のみ。長男は「ま、大丈夫でしょ」とどっしりと構えていました。そう見えたのは私だけで内心はドキドキしていたのかもしれませんが。
夕方、郵送での通知。はやる気持ちを抑え開封してみるとそこには「合格通知書」の文字がありました。
長男には帰宅後自分で確認するまで黙っていましたが、確認後あんなに楽勝だという雰囲気を醸し出していた長男もほっとしたような表情を見せました。
その表情を見たときに「1年間一緒に走ってきてよかった」と思えました。
その後、大急ぎで制服などの学校用品を一緒に見に行って揃えながら、小学校の卒業式を迎えたのです。
晴れて4月から中学生になった長男。部活動はやはり学校説明会で気に入っていた部に入部して日々部活動に励んでいます。新しい友人もでき、小学校時代の友人とも上手に距離を取れるようになってきたようです。学業も入学したからおしまい!ではなく現在も週3で塾と公文式の2本立てで頑張っています。
将来の夢である「一級建築士」の他に「教師(数学・理科)」という夢も新たに考え始めているようです。私からは「どちらの道に進むとしても、高校までは普通科に通い選択肢の幅を狭めないように」とのアドバイスだけ行い、本人に考えさせるようにしています。
やりたいことを我慢するのではなく、やるためにどうすればよいかを自分なりに考え決断し、行動していってほしいと思っています。
そして、来年中学生になる次男。こちらは本人がまだ受験するか迷っています。しかし、親が押し付けで受験させても子供のためにならないと思っているので次男の気持ちが公立中学校であればそれで構わないと思っています。
シングルマザーは、何かと遠慮や妥協など諦めてしまうことが多いように思います。私自身も日々妥協の連続です。だからといって子供の人生や夢まで妥協する必要はありません。今一度子供とよく話し合って、一緒に頑張ってみませんか?
最後までお付き合いいただきありがとうございました。