お金で苦労をしたシングルマザーこそ、自分自身の老後は子供に頼りたくないと思う方もいらっしゃるかもしれませんね。安定した年金が支給されるのであればそれほど心配はいりませんが、少子高齢化の影響で現在の年金制度は維持が難しくなっているというニュースを耳にしたことがあるかもしれません。未来のためのお金の準備方法として、今回は「個人型確定拠出年金」についてお話します。
個人型確定拠出年金(iDeCo・イデコ)って聞いたことありますか?一定金額の掛け金を支払い、私たち自身が掛け金の運用方法を決めてお金を増やし、運用したお金を将来受け取るという年金制度のことです。掛け金を支払った本人が運用方法を決められるため、一人一人の年金の受取額に違いがあるのが特徴です。
iDeCoは自分で運用したお金を将来受け取る年金制度とお伝えしましたが、その他に税金対策にもなるという特徴があります。ここからはその節税方法をご説明していきます。
iDeCoで受けられる税金対策は以下の3段階。
1.毎月支払う掛け金が全額控除
iDeCoで毎月支払う掛け金は、全額が所得控除となります。
所得控除とは、「所得税の計算をする際のお金に入れない」ということであり、その分、所得税が少なくなることを意味しています。毎年の課税所得が高い方は数万円の節税になる場合もあります。
2.運用期間中に得た利益が非課税
iDeCoでは、運用によって得た利益は非課税となり、利益をそのまま再投資することができます。通常は運用で得た利益にかかる税率は20.315%。つまり、100万円の利益を得たら、税金だけで20万3150円も引かれてしまうところ、iDeCoの場合は100万円は100万円のままなのです。
3.お金を受け取るときに控除
iDeCoで運用したお金は60歳まで引き出せません。60歳以降にお金を引き出す際、「一括で受け取る」「分割で受け取る」という方法があります。「一括で受け取る」場合は公的年金等控除、「分割で受け取る」場合は退職所得控除が受けられます。
原則、20歳以上60歳未満の方で、国民年金や厚生年金などの公的年金に加入している方は誰でも利用できます。
パート・アルバイトや派遣社員、個人事業主、主婦の方であっても、国民年金の保険料を支払っていればOKなので、シングルマザーの多くが入れると思います。
シングルマザーの多くが加入できるとお伝えしたiDeCoですが、実は「入らないほうがいい」というタイプの方もいらっしゃいます。iDeCoのデメリットも理解したうえで、考えてみてくださいね。
1.低所得世帯で所得税が低い人
2.貯金があまりない人
iDeCoは将来のためのお金を運用する商品であり、その掛け金全額が所得控除の対象になるという特徴があります。しかし、もともと所得税が低い人が加入したとしても、節税効果はほとんどありません。シングルマザーで寡婦控除を受けている方は既に所得税が低くなっているため、iDeCoを利用するメリットはあまりないかもしれません。
また、iDeCoで運用したお金を受け取れるのは60歳以降。それまでは現金化することができません。つまり、「子供の教育費のため」「突発的な出費が発生した時のため」と考えている方にはおすすめできません。子供のための貯金は別である程度できており、あくまでも自分の老後資金として利用したいという方が対象です。
iDeCoの加入条件を理解したうえで「iDeCoをやってみたい!」と思っている方は、そのはじめ方を知っておきましょう。
基本的な流れは次のとおり。
1.金融機関を選ぶ
2.毎月の掛け金を決める
3.運用商品を選ぶ
4.申込書を提出する
それぞれの詳細をご説明します。
いくつか金融機関を選んで、商品に関する資料を取り寄せます。不明点はコールセンターに確認するなど、納得するまでやり取りができれば、最終的に加入する金融機関を選びます。
iDeCoは毎月一定額を支払う積立型です。掛け金は5千円から設定ができ、掛け金の上限金額は働き方によって違います。収入と生活費のバランスも考え、無理のない範囲で設定しましょう。
加入する商品は慎重に選びましょう。何度もお伝えしますが、60歳になるまで引き出すことはできません。
数十年と付き合う商品なので、自分が理解でき、運用できる商品かどうかが大切です。
また、投資信託では信託報酬という手数料が毎月かかります。その他にも、商品によってはそれ以外の手数料が必要になってくるものもあるので、「元本保証」などの言葉だけに騙されないように、商品内容は隅々まで確認が必要です。
金融機関、掛け金、商品が決まったら、積立口座を開設するための申込書を記入します。参考見本を確認しながら必要事項を記入していきます。このときに記入ミスや漏れがあると、再送が必要となり、時間も手間もかかってしまいますので、ミスがないように注意しましょう。
書類や返送方法は、
・自営業者と専業主婦(主夫)
・会社員
・公務員
以上の3つで違いがありますが、今回は会社員の方を例に説明します。
会社員の方(第2号被保険者)は金融機関への申込書とは別に、勤務先が個人型確定拠出年金の加入対象者であることを証明する「事業所登録申請書 兼 第2号加入者に係る事業主の証明書」の準備も必要です。この証明書は勤務先の担当部署か担当者へ依頼をする必要があります。
会社員の方は、
・金融機関への申込書
・事業所登録申請書 兼 第2号加入者に係る事業主の証明書
・本人確認書類
少なくとも以上の3つを返送することになるでしょう。
申込書の記入項目は以下のとおりです。
・氏名
・基礎年金番号(年金手帳に記載があります)
・生年月日
・性別
・住所・電話番号
・被保険者の種別
・掛け金の納付方法
・掛け金の引き落とし口座情報
・毎月の掛け金額
・勤務先情報
勤務先情報に「登録事業所番号」とありますが、共済組合員の方以外は未記入でも問題ありません。もし、心配な方は勤務先の担当部署か担当者に確認して記入するようにしましょう。
シングルマザーのなかには定期預金をかけている方もいると思いますが、今の銀行は低金利で、預けていてもそれほど増えないのが現状です。それよりも金利が高く、そのうえ非課税にもなる個人型確定拠出年金・iDeCoはとてもおすすめの制度ですよ。子供に頼らず老後を豊かに暮らすためにも、お金を増やすことを始めてみませんか?