子供が1歳のときにモラハラDV夫と離婚し、現在は息子と2人、幸せなシングルマザーライフを送る。
「強くてかっこいい母親」を目指す一方、ストレスを子供にぶつけてしまうこともあり、日々反省。理想の母親になるべく、自分磨きに取り組む★
元旦那との離婚を決めた時、子供はまだ1歳になったばかりでした。歩くのもおぼつかないわが子を見ながら、「この子はどんな大人になるんだろう」「私ひとりで本当に育てていけるのか」「これからは私が頑張らないと」と、将来への漠然とした不安に対して必死に自分を奮い立たせようとしていました。
大きな不安を抱きながらも、私が離婚を決意したのには理由がありました。それは、子供と私の幸せのため。
元夫はお酒を飲むと必ずと言っていいほど、大きな声を出したり、物に当たったり、時には私や子供に暴力をするDV夫だったのです。お酒が冷め、冷静になると反省する元夫を見て、何度もやり直そうとした私たちですが、結果的には元夫と夫婦関係を修復することはできませんでした。
「このままでは、子供に大きな危害が及ぶかもしれない」と思った私は、子供と私の将来を考え、家族関係を続けることだけが幸せになるための方法ではないと気づきました。そして、新たな幸せの形を見つけるために、離婚という決意をしたのです。
子供との幸せのため、強い決意のもとシングルマザーになった私。最初のうちは、DV夫から開放された環境で本当に楽しい日々を送っていました。夜になって酒に酔った夫が帰ってくるのを怯えて待たなくてもいい。そう思えるだけで幸せだったのです。
しかし、数ヶ月が経ち、子供と2人だけの生活にも慣れてきた頃、私の歯車は狂い始めました。
当時、私は仕事に家事に育児にと必死でした。誰の手も借りずに、すべてを完璧にこなそうとしていたのです。それは、「離婚したからには、絶対に私がこの子を幸せにしなければいけない」という母親としての責任感からでしたが、「ひとりで頑張ることが正しい」と無理をしていたのです。
とはいえ、子供は1歳だったので、当然手がかかりました。仕事から帰り、急いでご飯をつくっている私の側で泣きわめく。一生懸命つくったご飯をひっくり返し、床にぶちまける。子供を早く寝かせて残りの家事を片付けたいのに、寝かしつけに1時間以上かかる。必死な私とは反対に自由奔放なわが子に耐えきれなくなった私は、「ママはこんなに頑張っているのに、どうして分かってくれないの!」と泣きながら怒鳴ってしまいます。そして、大声を出す母親を前に、子供もヒートアップし、2人して泣く。そんな状態が続きました。
子供との幸せをつかむためにシングルマザーになったのに、現実は上手くいかない。「やっぱり子供をひとりで育てていくのは難しいのかな」と落ち込んでいた時、私は1冊の本と出会います。
それは、SNSで他のシングルマザーさんが紹介されていた本でした。タイトルは、『ひとり親でも子どもは健全に育ちます』。シングルマザーがひとりで子育てをすることの難しさに直面していた私に訴えかけているようなタイトル。そこに私が求めているものがあるような気がして、私も本を購入しました。
実際に私が本を読んで感じたこと、心に響いたことをみなさんにご紹介させてください。
これは私がこの本を読み終えて、最も印象深く残っている言葉です。本のなかでは、「母親は教育者ではなく、保護者でいてください」と書かれていました。それが母親の存在意義だというのです。
子供というのは、いつだって母親には甘えたいもの。甘えたいという子供の願いを十分に叶えさせてあげることが母親の役目です。一方で私は、「教育者」になろうとしていました。「私がこの子を立派に育てていかなければいけない」という責任感から、母親役だけでなく、父親役も完璧にこなそうとしていたのです。その頑張りが私の許容範囲を超えてしまい、子供にとっても私にとっても、望ましくない状況を生み出してしまっていました。
「母親はいつだって保護者でいてください」
この言葉を目にした瞬間、私が子供に向ける視線が温かいものに変わったような気がします。たくさんの愛情をもって、温かい心で子供の成長を見守る。それができていれば十分なのだと思えたのです。
次にこの本の構成をご紹介いたします。全4章からなる本ですが、文字数はそれほど多くありません。優しい雰囲気のイラストも添えられており、気軽に読み進めることができます。単行本くらいのサイズで約190ページなので、私は子供が寝た後の約2時間でサクッと読んでしまいました。
各章のタイトルはこのようになっています。
・第1章 ひとりで子どもを育てる子育ての心得
・第2章 離婚と死別 子どもとの向き合い方
・第3章 子どもを幸せにする親としての生き方
・第4章 こんなときどうしたら?子育てQ&A
いずれもひとりで子育てを頑張るお母さんの心に寄り添ってくれるような内容で、読み終えると、これからの子育てがちょっとラクになるような気がします。特に第4章は、シングルマザーに身近な悩みを例に挙げて回答してくれているので、なかなか人には相談できないような課題が解消されます。
この本の著者は児童精神科医の佐々木正美さんという方です。東京大学、ブリティッシュ・コロンビア大学で精神医学を学ばれた後、国立秩父学園、小児療育相談センター勤務の傍ら、東京大学や東京女子医科大学で児童精神科医として臨床に携わっておられました。子供の臨床現場に40年以上携わってきた経験から、他にも『子どもへのまなざし』などを出版されています。
今回ご紹介する『ひとり親でも子どもは健全に育ちます』も、2012年に初版が発行されてから、2018年には第7刷が出ており、多くの母親たちから支持・信頼を受けていることが分かります。
私は子供が1歳の時にこの本に出会いましたが、6歳になった今でも時々読み返しています。
この本の良いところは、説教臭くないところ笑。多くの母親やシングルマザーに会ってこられた著者だからこそ、母親の気持ちを理解した内容が書けるのだろうと感じます。
私は何度も読み返しているので、気になるところに着けた付箋も増えてきました。ひとり親の私にとって、この本は良き理解者、パートナーといった存在です。
シングルマザー歴5年を迎えた私ですが、この本が教えてくれたように、「温かい気持ちで我が子に接する」というのが私の理想とする姿です。教育者としてではなく、保護者として。とはいえ、私もまだまだ未熟者なので、イライラが溜まった時、上手くいかないことが続いた時は、思うように接することができないこともあります。
そんな時にはいつでも本を読み返して、シングルマザーとしてありたい姿を思い出したいと思います。
昔私がそうであったように、「私がこの子を立派に育てなければいけないんだ」と頑張りすぎているシングルマザーのみなさんに、読んでいただけると嬉しい本をご紹介いたしました。