女手ひとつで子供と家庭を支えているシングルマザー。「毎月の生活費だけで精一杯なのに、貯金なんて考えられない」という現実の一方で、「できれば子供の学費を貯めたい」「自分の老後のために少しでも残しておきたい」という理想を描いていらっしゃる方も多いでしょう。
今回はそんなみなさんにお伝えしたい無理のない節約術をファイナンシャルプランナーに聞いてきました。
ライフプランは直訳すると人生計画ですが、人生のなかで想定されるイベントを考え、そのときに必要になるであろうお金を予測し計画を立てることです。シングルマザーのみなさんも、節約や貯金について考える際は、まずライフプランを立て、将来について考えてみてください。
シングルマザーが貯金をする目的は主に、子供の教育資金と自分の老後資金のためかと思います。そのため、ライフプランでぜひ意識しておきたいのは、子供が18歳のときと自分が65歳になったとき。子供が18歳のとき、自分は何歳でしょうか。子供が就職し家を出るなら独立資金が、進学するなら進学のための費用が必要です。自分が65歳になって年金生活に入ったとき、子供はそれぞれ何歳で、どんな仕事をしてどこで暮らしているか。子供も結婚して孫がいるかもしれません。自分はそのときどこに住んでいるのか。そんなふうにそれぞれの時期で家族の年齢やライフスタイルを思い描いてみてください。
明確に「○○円あれば大丈夫」とお伝えするのは難しいです。なぜなら、将来の制度はどうなるかわからないから。
少し前に、「国公立大学の学費が上がるかもしれない」というニュースが流れていましたが、かと思えば最近は「高等教育無償化」の方針が打ち出されました。国の制度は変わるものなので、子供が小さいうちから国の保障を頼りにしたり、将来を不安視しすぎないようにしたいところです。
今の生活に無理のない範囲で、コツコツとできることから始めましょう。教育費は必要な時期がだいたい決まっています。高校卒業後に大学や専門学校など進学を希望されているのであれば、進学費用を目標にしましょう。子供が高校3年生の夏ぐらいまでに進学費用が用意できる見通しだと、選択肢が広がります。文部科学省の「私立大学等の平成29年度入学者に係る学生納付金等調査結果について」によると、私立大学の初年度学生納付金は約133万円となっています(参考:http://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/shinkou/07021403/1412031.htm)。
高校卒業というと、各種のひとり親世帯に対する経済的支援が終了となるものがありますから、子供独立後の生活についても視野を広げておきましょう。老後の生活費用は「どこに住むか」によって大きく異なってきます。賃貸住宅であれば家賃の支払いが老後も継続することになります。
貯金を増やす方法は4つです。収入を増やすか、支出を減らすか、運用するか、支援を受けるか。
個人的には、収入を増やす方法を考えるのが建設的だと思います。
シングルマザーの平均世帯年収は243万円です(平成28年度全国ひとり親世帯等調査結果報告)。子育てしながら月収20万円前後でやりくりをされているなかで、もっと節約を頑張ろうとしても限界があるので、辛くなる方もおられるでしょう。
今回は「節約術」というテーマなので割愛しますが、収入を増やす方法についても考えてみてくださいね。
貯蓄専用口座の準備と現状のチェックから始めましょう。
まず、貯蓄専用口座について。
給料が振り込まれる口座とは別に、貯蓄専用口座として児童手当や養育費などが振り込まれる口座をつくりましょう。基本的にはお給料だけでやりくりをして、貯蓄専用口座に振り込まれたお金は使わないよう意識します。子供の進学費用などまとまったお金が必要なときのために備えましょう。突発的な支出が重なるなど「今月は足りない…」という月に使うのは問題ありません。ただし、それが完全に生活の一部になってしまうと貯金が難しくなると思うので、できれば無いものとして考えられると良いですね。
次に現状のチェックについて。
自分のお金の使い方をある程度把握するために、できれば家計簿はつけたほうが良いと思います。ダイエットを始めるときに体重を量らない人はいないですよね?家計簿はダイエットでいうところの体重計を意味します。
「家計簿は面倒で、どうしても続かない」という方は、1年前の通帳の記録を見てください。預金残高が増えているのであれば、その調子でOK。減っている場合は、収入の範囲内に支出がおさまっておらず、貯蓄を取り崩しているということ。現在の生活で見直せる点がないか確認しましょう。
その他、現状のチェックをするために、財布の中に溜まっているレシートの確認や、クレジットカードの明細確認も重要です。自分のお金の遣い方のクセを把握することが貯金を始める際の第一歩になります。
節約術として鉄板なのは、固定費の見直しです。年収が多いか少ないかにかかわらず、節約を始める方には、まずは固定費の見直しからおすすめしています。固定費は1回見直すだけで節約できる年間額が高いという点でも、忙しいシングルマザーにはおすすめです。
主に固定費で見直せるものは以下のとおりです。
①通信費の契約
まずは、通信費のプランを見直すことが簡単でおすすめです。ご自身の契約している携帯電話会社で、不要なオプション契約はないか、より月額費用が抑えられるプランがないか、契約の見直しに最適な時期(解約費用が抑えられる時期)はいつかを聞いてみましょう。スマホは通話が比較的少ない方なら、いわゆる「格安スマホ」と呼ばれる大手キャリア以外のものも選択肢に入れてみましょう。
私自身も以前は大手キャリアのものを使用していましたが、家電量販店の買い物ポイントを利用して端末を一括で購入し格安スマホにしたことで、通信費が月約8,000円から約2,400円に節約できました。年間で計算すると6万円以上の節約は大きいですよね。
格安スマホに変える際は、現在のスマホをいつまで使い続けるか検討の上で、乗り換えに違約金が発生しないタイミングをねらってください。乗り換え2年目・3年目で割引がなくなると徐々に料金が高くなることもありますので、料金プランはしっかり把握しておきましょう。
②保険の契約
自分に何かあったときのことを考えて、保険に加入しているシングルマザーもいらっしゃるかと思いますが、月々の保険料は決して安いものではありませんよね。
現在加入している保険で長らく放置しているものがあれば、保険料や保障内容を見直してみてください。貯蓄型の保険は保険料払込期間の途中に解約すると元本割れしてしまうことがありますので、解約は慎重にする必要がありますが、保険料の支払いが負担になっているようなら保険会社に相談してみましょう。
シングルマザーとなったことで子供のために万一の保障はどうしても確保しておきたいと新たに加入を考えるのであれば、万が一のときを保障してくれる掛け捨て型で十分という場合もあります。
③光熱費の契約
以前までは決まった電力会社・ガス会社としか契約できませんでしたが、2016年4月からは電力、続く2017年からはガスについて、自分で契約先を選べるようになりました。ガスや電気をまとめて契約することで割引するプラン(参考:http://home.osakagas.co.jp/price/gas-electricity/information.html)や、インターネットのサービスなどと組み合わせたプランなど、いろいろあります(参考:https://www.jcom.co.jp/service/gas/price/)。ご家庭にあった料金プランを選ぶのはなかなか難しいですが、気になるサービスがあれば一度見積もりをしてもらいましょう。何社かでいくつか比較して最適なプランを選ぶことができれば、今までと使い方を変えずに節約できるようになります。
上記3つの方法は契約の見直しにひと手間かかりますが、それほど難しくはありません。1回の見直しが今後の生活に影響してくることを考えれば、やってみて損はないかと思います。
また、賃貸住宅にお住まいなら、家計のなかで大きな割合を占める固定費は家賃です。お引越しには費用がかかりますので安易な住み替えはおすすめできませんが、家賃も割高だと感じられるようなら検討してみてください。
今回はシングルマザーにおすすめの節約について、ファイナンシャルプランナーにお話をうかがいました。ライフプランの立て方から実践的な節約術まで、参考になる情報はあったでしょうか?
特に具体的な節約術として、固定費の見直しという話がありましたが、すでに実行されている方はどれくらいいらっしゃるのでしょうか?
「契約変更は面倒だから後回しにしよう…」と思ってつい放置してしまっている方もなかにはいらっしゃるかもしれません。しかし、1回の手間をかけるだけで、年間数万円の節約になるのであれば、その労力は決して無駄ではないでしょう。
この記事がみなさんの生活に少しでもゆとりを生み出してくれれば嬉しいです。