シングルマザーの最大の悩みは、自分自身が働けなくなった後の生活と子供の教育です。公的な支援はあっても必要最低限の支援であり、子供の大学卒業までカバーできるものではありません。そんな公的支援では足りない費用をまかなってくれるのが生命保険と学資保険です。母子の生活を安全にするためにも、ぜひ知っておいてほしい保険についてまとめました。
離婚をすることで、多くの方は生活環境も大きく変わるかと思います。そういったなかでも保険で失敗しないポイントは、収入と日々の生活費、将来必要となる学費を正しく把握することです。
保険の保障内容が手厚くとも、保険料が高く、あとから家計をひっ迫させるようでは意味がありません。家計とのバランスを確認して保険を選択することをおすすめします。
以下の生活費は子供の年齢や性別、習い事によっても大きく左右されます。計算の目安としてご活用ください。
『平成28年度 全国ひとり親世帯等調査結果』によると母子世帯の平均世帯年収は243万円だそうです。このことから月収を20万円と想定すると、子供2人で生活費の残金は2万円。あまり余裕がなく、何かあった際には不安になる金額です。
かけられる保険は月々の支払額ができるだけ安く、高くとも1万円以内が理想のようです。
幼稚園から高校まですべて公立に通った場合の学費は5,423,949円。
幼稚園から高校まですべて私立に通った場合の学費は17,717,901円です。
この金額は純粋な学費のみの金額であり、部活動などは含まれておりません。
高校卒業後の大学のことも考えると、今のうちから貯蓄をし、子供の夢を応援できるようにしておきたいと思います。
また、子供を学習塾に通わせるならば、小学校低学年で月平均額は1万2千円、高学年になると1万9千円ほどになります。小学生のうちから塾に通わせる家庭は主に中学校受験をするか否かによります。その証拠に公立の小学校に行っている家庭の6割は塾に通わせていません。
もし、小学校6年間学習塾に通わせると1,116,000円かかります。
中学生の学習塾状況は変わり、公立の中学校に行っている家庭の7割が塾に通わせています。後々に控えている高校受験に向けての対策のようです。月謝平均は2万6千円。3年間学習塾に通わせると936,000円かかります。
大学受験が控えていますが、高校生の塾率は下がっております。ただし、塾に通っている場合の支出額は上昇傾向にあります。大学のレベルにもよるようです。
参考:平成28年度子供の学習費調査結果(文部科学省)
http://www.mext.go.jp/b_menu/toukei/chousa03/gakushuuhi/kekka/k_detail/__icsFiles/afieldfile/2017/12/22/1399308_1.pdf
毎月の保険料は40代のシングルマザーが一番金額が高く1万5千円ほどです。(参考:https://www.hokende.com/life-insurance/age-household/40-sparent)
正社員で働いていて出世や昇給が見込めるならば、日々の生活費と学費を支払っても貯金できるかもしれませんが、パートタイマーや派遣社員で働いていたら1万5千円は大きい金額ですね。保険の加入率をみると一番高いのは終身保険。
終身保険とは生命保険の一種で、『万が一の保障』と『将来の蓄え』を同時に準備できる保険のことです。保障内容は手厚いですが、支払保険料が比較的高額になりやすい保険です。シングルマザーにとって、高額な支払保険料は負担になっているのではないでしょうか?
生命保険には積立型と掛け捨て型があります。それらの違いも見ていきましょう。
積み立てていたお金が解約によって戻って来るのが積立型生命保険です。主に終身保険と養老保険があてはまり、万が一の保障と同時に貯蓄を重要視しているのが積立型の特徴です。
生命保険制度が生まれたころより人気が高い保険でもあり、反面一度加入すると見直すことはせずに入りっぱなしになっていることもあります。そうすると、後から登場した保険の方が保障内容などが良くなってることもあるので、積立でも入りっぱなしではなく、適度に保障内容等を確認することをおすすめします。
解約手続きをとってもお金が戻らない、もしくはわずかなお金しか戻らないのが掛け捨て型の生命保険です。収入保障保険、定期保険などが掛け捨て型の保険にあてはまります。
保険で貯蓄はできませんが、ひと月あたりの支払保険料額が安く設定されていることが多く、負担が少ないことが特徴です。保険を見直すことが容易にできることは利点です。
新しく提供される保険の多くには『ボーナス』がついていませんか?
たとえば10年間入院や手術がなければ10万円がもらえるなどです。
実は、保険業法上セールや割引、割戻しのようなサービスの提供は禁止されています。
(保険契約の締結等に関する禁止行為)
五 保険契約者又は被保険者に対して、保険料の割引、割戻しその他特別の利益の提供を約し、又は提供する行為
保険業法 第三百条
以上のように決められていることから、保険会社が契約者に対して提供するサービスと、契約者が支払う保険料はWIN‐WINの関係でなければなりません。本来ならば、ボーナスというサービスは提供できません。
ならば、なぜボーナス付き保険が提供されているのか?
それはボーナスとして支払われるお金は実質、毎月の保険料で余計な分も支払っており、その払い込んだ余計なお金をまとめて取り戻しているにすぎないからです。
保険においてはお得なサービスなど存在しません。目先のお得感ではなく、きちんと見定める必要があります。
シングルマザーが保険を選ぶ際の優先事項とは、
・のこされた子供の生活費と学費の保障
・母親自身の治療費と働けない間の生活費の保障
・高校・大学進学時に必要なお金の準備
以上3点です。
保障内容を確認し、吟味して加入することで万が一のことがあっても生活レベルを下げずに暮らすことができます。
保障が一生続く終身タイプは魅力的ですが、保険料は高額になる傾向にあります。
比べて、保障期間が決まっている定期保険は、保障内容が手厚いうえ、毎月の保険料はおさえられます。
保険の満期年齢と、子供の年齢とその時の状況をふまえて選択すると失敗しません。たとえば保障内容は十分でも子供が学生の間に満期になってしまうようではいけませんね。
すくなくとも子供の大学卒業後に保険の満期年齢を迎えるように設定することをおすすめします。
終身保険は一生涯保障され、子供が独立した後も安心ですが、毎月の保険料が3万円を超えることもあります。
子供の独立後はよほどのことがない限り、それほど財産を残す必要もありません。月々の負担が低い定期保険に加入することで、通常の貯金もできますので、定期保険はおすすめです。
万が一死亡したり、高度障害になったときのことを考えて、収入保障保険にともに加入しておくことでさらに安心です。
この収入保障保険とは毎月2千円ほどでいざというときに、毎月10万円などあらかじめ設定した金額が毎月受け取れる保障です。死亡保障などと比べて保険料が格安で人気があります。遺族年金の足りない部分をカバーするのにピッタリです。
学資保険は満期で受け取る場合は子供の高校や大学の入学費用に充てることができます。
また、万が一あなたが死亡したり働けなくなった場合は以降の保険料を納めずに、時期が到来すると満額受けとることができる保険です。
選ぶポイントは、
・返戻率の高さ
・満期でいくら受け取るのか
以上の2つです。
返戻率が高いということは払い込み金額よりも、多く戻ってくることを意味しています。学資保険の資料に必ず記載がありますので、加入前に確認しておきましょう。
たとえば返戻率110%とあれば、200万円払い込んだ場合は、満期時に220万円が戻ってきます。
満期時にいくら受け取るのかも大切です。
学資保険をかける多くの方の目的は高校や大学の入学金にすることです。とくに大学への進学は入学金だけでなく、下宿代などがかかることも多いです。
やみくもに学資保険をかけるのではなく、何にあてるお金なのかを考えたうえで金額設定をおこなうことをおすすめします。
万が一あなたが亡くなった場合のことを想定してみましょう。
誰を保険金の受取人に指定していますか?子供を指定しているならば要注意です。
この保険金の請求は現状、未成年ではおこなえないからです。
あなたが亡くなった場合は子供の親権者がいなくなるので、家庭裁判所で未成年後見人を選ぶことになります。
のこされた子供の財産管理から他の契約等をおこなうのが未成年後見人ですが、遺言書などがない場合は誰が選ばれるかわからないのです。
東日本大震災後、孤児になった子供の未成年後見人に選ばれた者が、子供の財産を使い込んだなどのトラブルも多発しました。
そうならないように、あらかじめ遺言書を作成し、信頼できる人を未成年後見に指名するか、保険金の受取人を信頼できる人に指名しておくことをおすすめします。
子供の明るい未来のために今一度保険のことを見直してみませんか?