離婚が決まったら、仕事のこと、お金のこと、子供のこと…考えなければいけないことが山ほどあります。
そのなかでも住まいは、これから母子が安心した生活を送っていくうえで必要不可欠なもの。「まずは住まいから決めないと!」と思っている方も多いのではないでしょうか。
でもちょっと待ってください。入居審査のポイントや不動産会社が見ているポイントはご存知ですか?貸す側の視点を正しく知ることが住まい探しのヒントになるかもしれません。
賃貸借契約の流れは以下のとおりです。
①仲介会社と物件選び
仲介営業が、希望の条件(家賃・間取り・エリアなど)を聞いて、物件を絞ります。
②仲介会社が家主に物件の問い合わせ、物件見学
物件を選んだら、仲介営業が管理会社・家主に問い合わせをします。その際、「どういう入居希望者なのか」ということを説明し、その反応を見たうえで、可能であれば部屋を見学します。
③契約、入居審査
申し込みする部屋が決まれば契約に進みます。入居審査のために、契約者・入居者・連帯保証人などの情報が必要です。
Q1の「①仲介会社と物件選び」で仲介営業から最初に聞かれるのは予算や入居時期です。
予算はもちろん、収入に見合った設定ができているかが大切ですが、入居時期も大事なポイントです。
たまに「実は離婚を考えているので、先に物件を見ておきたいのですが…」という相談をされることがありますが、そういった方にはすぐにご紹介することはできません。基本的に、「申し込んだらすぐに入居していただける方」を優先するからです。「離婚するかもしれない」という状況では、入居時期はおろか、場合によっては「離婚しない」という可能性もありますよね。離婚することが確実で、入居の時期も明確になってから物件探しをしたほうが、契約までスムーズに進むでしょう。
Q1の「③契約、入居審査」で主に聞かれるのは、契約者の住所・氏名・連絡先・勤務先(会社名・勤続年数・年収)と連帯保証人の住所・氏名・連絡先・勤務先、その他入居者の情報(子供の氏名・年齢・学校名など)です。また、提出書類として、身分証明証と収入証明書を求められることもあります。
入居審査の際は、「審査に通らなかったらどうしよう…」と心配する方もいらっしゃるかもしれませんね。ですが、審査まで至っているということは、仲介営業に家族構成・収入見込み・希望条件が伝えられて、適切な物件選びができているということ。物件選びが適切であれば、本来は入居審査で心配することはそれほどないはずなのです。
いちばん重要なのは、収入見込です。つまり、家賃の支払能力があるかどうかということです。
家主にとって、その物件はとても大切な財産です。その財産に住む人がどんな人で、家賃を継続して支払ってくれるのか知りたいと思うのは当然ですよね。こだわりのある家主だと「こういう人に入ってほしい」という入居者イメージを持っている方もいらっしゃいます。
現在すでに仕事をしている場合は、源泉徴収票の提出を求められる場合があります 。もしまだ仕事を始めていなかったとしても、適切な物件選びをしたうえで内定証明書や内定通知書があれば審査は通過する可能性があります。
「シングルマザー」ということだけが原因で、大家さんに断られることはほとんどありません。先程もお伝えしたとおり、「家賃を継続して支払ってくれる方」かどうかが重視され、安定した収入が見込めるかなどを聞いてから判断されるからです。
シングルマザーがというよりは、どちらかというと「子供」について気にされることが多いです。実際に物件を探したことがある方はご存知かもしれませんが、希望の予算・エリア・広さ、かつ子供OKな条件で探すと入居できる物件は限られてきます。
一般的に家賃は手取り収入の3割までと言われていますが、明確な決まりがあるわけではないです。
「継続して支払い続けられるか」がポイントなので、ご自身の収入と必要な生活費などから、現実的な範囲で探しましょう。
あとは、礼金・更新料などの一度に支払いが発生する費用についても考慮し、年単位でバランスを見たほうが良いです。
安定した収入と連帯保証人、そして一貫したストーリーです。
連帯保証人についても、現在働いていて安定した収入を得ている人が望ましいです。もし連帯保証人になれる人を見つけることが難しい場合は、保証会社の審査に通れば連帯保証人は不要というケースもあります。
一貫したストーリーとは、将来を見据えた計画のことです。子供と一緒に賃貸物件に住むにあたって、どのように生計を立てていく予定なのか、どのくらいの期間その物件に住む予定か(引っ越すのか)、など「まじめに考えている」という姿勢を持つことが大切です。
家賃の4カ月分を見込んでおいたほうが良いです。
その内訳は、敷金・礼金・仲介手数料・前家賃・火災保険料・保証料などです。その他にも引っ越し代や家具などの費用によっては、もう少しかかる場合もあります。敷金がなくても、退去時には定額ハウスクリーニング代がかかる、または退去時のハウスクリーニング代を入居時に支払うよう求められることもあります。事前に契約内容を確認しましょう。
特に申込金として初期費用の一部の支払いを入居申込みの際すぐに求められることが多いので、準備しておきましょう。
基本的には難しいです。
ただし、失業中であってもまとまった貯蓄があることが証明できれば、借りられる可能性もあります。とはいえ、入居後の生活費を確保するという意味でも、仕事の見込み、収入の見込みがない場合は難しいケースが多いので、仕事を探すことが先決です。
もし、「離婚して今すぐ家を出ていかなければいけないけど、まだ仕事が決まっていない」という方は、できれば最初のうちは実家などにお世話になって、その間に仕事を探すという順序を踏むのが良いでしょう。
将来の教育費などを考えると、家賃はできるだけ抑えたいシングルマザーも多いでしょうが、大前提として「子供入居可」でないと入居できません。
予算を抑えるため「子供がまだ小さいのでワンルーム・トイレとお風呂がいっしょで良い」という方もいらっしゃいますが、ワンルーム・1Kといった間取りは学生など単身者向けに作られており入居できない物件が多いです。
子供OKな物件でも、後々のトラブルを避けるためにその物件の入居者にファミリーがいるか、どんな人が多いのかは聞いておくと良いでしょう。
予算以外に広さや間取り・エリア・築年数などの希望を出しすぎてしまうと物件が見つからない可能性もあります。どこまで妥協できるのかが物件探しのポイントになるでしょう。
子供の年齢や人数にもよりますが、個人的には小さな間取りのほうがおすすめです。
シングルマザーということは、大人のスペースは1人分で良いので、そこまで広さや部屋数はいらないと思います。小さい間取りだと必然的に子供との距離も近くなるので、コミュニケーションが増えます。また、広さによって家賃だけでなく光熱費も変わってくるので、経済的な点でもおすすめします。
「子供が大きくなったらどうするの?」と考える方もいらっしゃるかと思いますが、小さい子供がいるシングルマザーは将来の引っ越しを前提に物件探しをしましょう。
子供が小さいうちは家賃を抑えて小さい間取りに住み、将来のための資金を貯める。そして、子供が大きくなり必要性が出てきたときに次の物件を探すというふうにすれば、その時々の生活スタイルに合った物件が選べると思います。
いかがでしたか?賃貸住宅を探しているシングルマザーのみなさんに役立つ情報はあったでしょうか?
賃貸住宅を借りる際の注意点や手順は仲介会社や物件の家主(大家さん)、地域性によっても違うかと思います。ただし、どんな場合においても重視されるのはお互いの「信頼関係」です。
貸す側の事情や視点を知ることで、住まいという安心できる環境を手に入れることができれば何よりです。