ひとりで子供を育てていくことはとても大変なこと。だからこそ、少しでも安定した職業に就き、少しでも安定した収入を得たいと思うママは多いのではないでしょうか。そんな時に考えたいのが、資格について。実際に、資格を取得したことによって、仕事の幅が広がり、お給料もアップしたというママたちの話もよく聞きます。 まずは、シングルマザーたちはどんな資格を持っているのか、そして資格を取るために利用できる制度はどんなものがあるのか、まとめていきます。
『平成28年度全国ひとり親世帯等調査結果報告』のデータによると、働いているシングルマザーのうち、「資格を持っている」と回答した方の割合は61.2 %でした。また、その資格が「現在の仕事に役立っている」と回答した方の割合は、60.9 %ということで、半分以上の方が仕事に活かされる資格を持っているということがわかります。
次に、具体的にどういった資格を持っているのか、みていきましょう。
保有割合が多い順に、上位5つは、簿記、ホームペルパー、教員、看護師、准看護師となっています。一番多かった簿記は、一般企業などの事務職として汎用性が高い資格です。それ以外は専門性が必要とされる資格である分、持っていれば現場で十分に活かせそうです。
また、「仕事に役立っている」と回答した方の割合を資格別でみた時に高かったのは、作業療法士、看護師、准看護師、介護福祉士、理・美容師で、いずれも70%以上の方が役立っていると回答されていました。
作業療法士とはリハビリテーションの医療現場で活かせる国家資格であり、入浴や食事などの日常生活の動作からレクリエーションまで、あらゆる動作を通じて心と身体のリハビリをおこなう専門家です。毎年の合格率は80%前後と高いようですが、指定された学校で3年以上の知識と経験の習得が必要であるなどの受験資格が設けられています。
今回はランキングの上位を占める資格をご紹介しましたが、これ以外の資格であっても、取得するのは簡単なことではありません。もちろん、長期にわたって勉強を続けなければいけないという点でも難しさはありますが、「資格取得のために使えるお金はない」という経済的な理由から諦めている方も多いのではないでしょうか。そんな悩めるシングルマザーのために、次に、資格を持ちたいというシングルマザーたちの経済的な助けになる制度についてご紹介します。
シングルマザーの経済的な自立を支援するため、厚生労働省が自治体と協力して就業支援に取り組んでいる支援制度は2つあります。制度を設けていない自治体もあるため、詳しくはお住まいの地域で確認が必要です。
母子家庭の母または父子家庭の父の主体的な能力開発の取組みを支援するもので、対象教育訓練を受講・修了した場合、経費の60%が支給される制度です。
1万2001円以上、20万円上限 ※ただし、雇用保険法に基づく一般教育訓練給付金の支給を受けることができる方は、その支給額との差額が支給される。
・20歳未満の児童を扶養している母子家庭の母または父子家庭の父
・児童扶養手当の支給を受けているまたは同等の所得水準にあること
・就業経験、技能、資格の取得状況や労働市場の状況などから判断して、適職に就くために必要な資格であること
・受講前に都道府県等から講座の指定を受ける必要があります。必ず事前にお住まいの自治体に相談してください。
・受講修了後に受給額が決まるため、最初は全額自己負担になります。
母子家庭の母または父子家庭の父が特に専門知識が必要な資格をとるために、養成機関で1年以上の修業をする場合、修業中の生活の負担を軽減するため一定額が支給される制度です。
月額10万円(市町村民税非課税世帯)
月額7万500円(市町村民税課税世帯)
修業期間の全期間(上限3年)
※平成30年度より、当該給付金の支給を受け、准看護師養成機関を卒業する方が、引き続き看護師の資格を取得するために養成機関で修業する場合、通算3年分の給付金が支給される。
5万円(市町村民税非課税世帯)
2万5000円(市町村民税課税世帯)
・20歳未満の児童を扶養している母子家庭の母または父子家庭の父
・児童扶養手当の支給を受けているまたは同等の所得水準にあること
・養成機関で1年以上のカリキュラムを修業し、対象資格の取得が見込まれること
・仕事または育児と修業の両立が困難であること
看護師、介護福祉士、保育士、歯科衛生士、作業療法士、理学療法士など
以上、上記いずれかの制度を利用したい場合は、審査があるため、必ずお住まいの市町村の児童福祉課(ひとり親支援係)にお尋ね下さい。
「将来のために役に立つ資格を持っておきたいけど、そんな余裕、うちにはない・・・」と諦めていたシングルマザーには知っておいてほしい制度をご紹介しました。
資格は取得することが目的ではなく、その後の経験や仕事に活かすためのものですが、こういった制度を上手に利用しながら、ママの自信や将来に繋げられればいいですね!