男の子2人の母、2017年に離婚。新米シングルマザーです。離婚を機に子供の教育資金や老後のことを真剣に考えながらも、自由になった生活を楽しみながら新しいことにチャレンジしています。
生活保護の説明をする前に、ひとつお伝えしたいことがあります。
決して生活保護を受給している方は、「働かない」のではなく「働けない」のです。また、働きながらでも、必要とみなされた部分のみの保護を受けることもできます。
今回は経済的に困窮し、生活保護の受給を考えている方に、生活保護の受給要件やメリット・デメリットについてお伝えします。
生活保護制度は、国が生活に困窮する方に対し、その困窮の程度に応じて必要な保護を行い、健康で文化的な最低限度の生活を保障するとともに、自立を助長することを目的としています。国が国民に行う公的扶助のひとつではありますが、申請の窓口は現在住んでいる地域の福祉事務所の生活保護担当課となっています。
生活保護制度は、受給要件や保護の種類などすべて「生活保護法」で定められています。
また生活保護は、個人単位ではなく「世帯単位」で行われます。そのため、受給要件も世帯単位で判断されることとなります。同一世帯の中に、誰か一人でも生活が営めると判断される収入があれば保護を受けることはできません。
生活保護の要件は、生活保護法第四条においてこう記されています。
『保護は生活に困窮するものが、その利用し得る資産、能力その他あらゆるものを、その最低限度の生活の維持のために活用することを要件として行われる。』(生活保護法第四条より)
資産がある場合、まず生活保護を受ける前に「所有している資産を活用しましょう」という規定があります。資産に該当するものが何かをみていきましょう。
①預貯金
②生活に利用していない土地、家屋
③株などの有価証券
これらを所有している場合は、保護申請する前に売却し、生活費に充てる必要があります。しかし、土地と家屋に関しては、生活保護の間、有効に使うことができると判断された場合は売却せずそのまま住むことができる場合もあります。
ここでいう能力とは「働くこと」を意味します。働くことが可能である場合は、その能力に応じた働き方をしなければいけません。
ケガや病気、または障害をお持ちの方で働くことができない場合は、この要件を満たしていることになります。身体は健康であっても、シングルマザーで小さな子供を保育所に預けることができず働けないという場合や子供が病気などで看病をしなければいけない場合も認められることが多いです。
あらゆるものの活用とは、年金や手当、養育費など生活保護以外の制度で給付を得ることができる場合は、それらを活用するということです。手当があっても生活できない場合は、足りない部分を生活保護から受給できることになります。
扶養義務者とは、両親や兄弟など三親等内の親族を表します。親族から援助が受けられる場合は、その援助を活用することになります。生活保護制度の申請よりも、まず先に頼れる親族からの援助が優先されます。
生活保護は生活に困窮した際のセーフティネットと呼ばれています。国が生活に必要な保護費を支給してくれるので、働きたくても働けない状態にいる方にとっては心強い存在となるでしょう。
働かなくても世帯全員が必要最低限の生活を営むことができるように保護費が支給されます。この保護費は、世帯人員の数や年齢、地域などによって異なります。
生活保護世帯となると、固定資産税、住民税、所得税などの税金や国民年金保険料、国民健康保険料、介護保険料を納める必要がありません。そのため、支出自体も減るでしょう。
税金や年金保険料、健康保険料だけではなく、NHK受信料や介護サービス利用料、医療費の支払いが免除となり、引っ越しが必要な場合においてはその引っ越しにかかる費用も免除となります。収入がないとみなされるため、支出がおさえられる仕組みとなっています。
生活保護を受けることで制限される部分もあります。生活において不便さを感じることもあるかもしれないので、申請前に知っておきましょう。
生活保護を受けると基本的に自動車の所有は認められません。自動車は保護要件にもあった資産と見なされるためです。そのため、天候が悪いときでも、買い物や子供の送迎は徒歩や自転車で行うことになります。
ただし例外もあり、障害をお持ちの方や病気で通院が必要な場合は、自治体によっては自動車の所有が認められるケースもあります。
生活保護の方は、保険証がありません。そのため、事前に役所から「医療券」を発行してもらう必要があります。基本的に1病院につき1枚なので、複数の病院にかかる場合は通院する病院の数だけ発行してもらう必要があります。また、通院できる病院も決められており、都道府県から生活保護の指定を受けている病院のみ通院が可能となります。
基本的に生活保護を受給している場合は、ローンを組むことやクレジットカードを作ることはできません。生活保護前にクレジットカードを持っていたり、ローンを組んでいる方は担当者に相談する必要があります。
保護要件に、「扶養義務者の扶養を優先する」とあったように、親や兄弟、元夫に扶養ができるかどうかの聞き取りがあります。元夫に連絡がいくのは、子供の父親であるためです。ただし、元夫との離婚理由がDVなどであれば配慮される場合もあります。
生活保護以外にもシングルマザーが受けられる手当や支援はたくさんあります。
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シングルマザーという生き方は、なりたくてなったわけではないと思います。また、それぞれの家庭が抱えている悩みや状況も異なります。自分と大切な子供を守るために、生活保護の受給をすることは決して後ろめたいことではありません。それだけ、子供を守ろうとしている証です。
シングルマザーは悩みを1人で抱えてしまうことがよくありますが、役所や福祉事務所などに相談すれば道が開けるかもしれません。特に経済的な悩みは1人で解決できないことも多いため、一度相談に行ってみてはいかがですか?子供との笑顔に満ちた毎日のために。